オンライン診療

 オンライン診療への関心が高まり、少しずつそのサービスは広がりをみせているようです。新型コロナウイルスがもたらした副次的効果の1つと言えるでしょうか。私事で恐縮ですが、慢性疾患に属する病持ちの身であるが故に、1か月に1度は薬の処方箋をもらうために内科へ通院しています。しかし幸いにもここ5~6年は、ごく簡単な問診のみで「ハイ次の方」となります。受診するためには時間が半日程度かかることからついつい足が遠のき、薬が無くなってもしばらくの間は我慢するということになりがちです。せめて人間ドックで精密検査を受けた年ぐらいはオンライン診療OKとならないものでしょうか。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ようやく初診まで特例的に認められたものの①対面診療を原則とする医師会の消極姿勢、②診療報酬が対面に比し低額であるということがネックとなり、いまひとつ普及に弾みがつきません。確かに医師会による「診察は視覚と聴覚ばかりではなく触覚などを含めたいわば五感で診察するもの」との主張も理解できます。患者と医師の双方にメリットがあり、しかも健康保険制度が今後も健全に運営されるための方策に期待します。
 ただその議論の中に是非加えたいのは、過疎地に住む高齢者問題です。買い物と通院に難儀している方々は多く、他人の手を借りないと通院できない人も多くいます。運転免許証の返上も躊躇(ちゅうちょ)し、事故の当事者になることも少なくはないでしょう。このような視座にも立ちつつ議論して欲しいものです。
 地域の保健師・看護師が患者の基礎的データを収集し、医療機関とビデオ通話で受信できる仕組みができるはずです。幸い若い医師のなかには、オンライン診療を評価する先生も多いと聞きます。ここは①時間的コスト、②感染リスク、③場所の条件(居住地、診療地)等を考慮した厚労省の英断を期待しています。