常在戦場
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちに世界的規模でさまざまな課題を突き付けています。それらへの適応と対策は未だ途上であり、一定の評価が定まっていないし中間的な総括も今なお時期尚早でしょう。ただ感じられるのは、残念ながら日本のこれまでの対応は、全ての面でいかにも準備不足であったということです。①当初のダイヤモンド・プリンセス号への対応、②武漢からの帰国者対応に右往左往する政府の姿、③衛生用品の不足、④医療設備・医療従事者問題、⑤経済対策などです。平時からの緊急事態を想定した準備が出来ていなかった証左といえましょう。
常在戦場(じょうざいせんじょう)は、武士の心得として旧長岡藩(新潟県長岡市)の藩風・藩訓とされていますが、政治家の先生方が好んで使う言葉です。「政治活動は常に緊張感を持って活動しなければならない」という意味よりは、「いつなんどき国会の解散があり選挙になってもいいように」といった意味合いがあるようです。
この数か月明るい話はほとんど聞きませんが、唯一の光明はこの間の自衛隊の対応でしょうか。ダイヤモンド・プリンセス号への派遣から自衛隊中央病院への患者の受入れと、2次感染を引き起こすこともなく他の模範となる医療行為を粛々と遂行する姿は、平時から準備と対応を十分に鍛錬してきた結果でしょうか。
ここにこそ常在戦場の真の意味があるような気がしてなりません。先の話になるかもしれませんが、今回のことを契機に国家的危機における科学的分析を行い、具体的な対策の準備・鍛錬を実行しなければなりません。旧来の価値観や政策にとらわれることのない、柔軟性と決断力が求められています。リーダーの覚悟を問いたい。